湿気の多い梅雨の時期、衣替えをする春、長雨の続く秋、結露が発生しやすい冬など、実は年中使用する除湿剤。各家庭でも利用しているかと思います。
除湿剤は衣類を長持ちさせるだけじゃなく、健康面や害虫被害を抑えるためにも活躍します。夏場に襲い来る『G』の恐怖も軽減できる可能性だってある!
今回は除湿剤の効能・効果ついてお話します。上手に活用して過ごしやすい生活空間を維持しましょう。お家の壁や衣類にカビが生えやすい方はぜひご覧ください。
・除湿剤の効能・取り扱いが分かる
・上手な衣替えのやり方が分かる
・ひな人形や五月人形の保存方法が分かる
除湿剤は過剰な湿気を防いでくれる
今さらですが、湿度とは空間内の空気が含む水蒸気の度合いのこと。最大値と実際の量との比較なので単位はパーセントです。
除湿剤を設置すると、一定空間内の空気中にたくさん水分が含まれる状態を防いでくれます。いいかえれば適切な湿度を維持させるための生活用品。
湿度が高ければどんどん湿気を吸ってくれますが、湿度が低いと効果を発揮しません。よって、ちょうどいい湿度を保ってくれるのですね。
乾燥剤は保存した物の品質が劣化しないように湿気を取り除くことが目的。空間内をカラッカラにさせるので、食品や精密機器の保管に使用されます。
人間にとって快適な生活湿度は40~60%。春や秋が過ごしやすいのは、ちょうどいい湿度になるからなんですね。
湿度は高くても低くても害がある
高湿度はカビを発生させ、衣類や部屋の壁にぽつぽつと黒い点が出てくる原因になる。ご存じの方も多いでしょうが、ほかにもよくないことがあるんです。
悪いカビを吸い込むと、肺や気管支の病気を引き起こす可能性があります。さらに湿度の高い環境はダニやゴキブリにとって絶好の繁殖場所。
また湿度が低くなり乾燥状態になると、今度はインフルエンザなどのウイルスが活発化します。冬に流行しやすい理由のひとつが乾燥しているからなんです。
除湿剤は二種類ある
除湿剤は大きく二つのタイプに分かれます。それぞれ中身や特徴が異なるのでご説明しますね。
よく見る箱型の除湿剤は貯水タイプ
箱型の容器に水が溜まっていく除湿剤は貯水タイプと呼ばれます。中の水量が目安まで溜まったら取り換える、使い捨て製品ですね。
箱の中に入っている粒は主に塩化カルシウム。水分を吸収すると、溶けて液状になる性質を持っています。雪の多い地域では道路に巻いて溶かす用途でも使用されますね。
塩化カルシウムは海水や、とうふを固めるにがりにも含まれる成分。食品添加物にも使用される安全性の高い成分なんですよ。
吊り下がっているシート型は保水タイプ
吸った湿気を液状化させ、さらにゼリー状に固めてくれるのは保水タイプ。場所を取らないので、様々な場面で活躍します。
使用される薬剤は塩化カルシウムのほか、二酸化ケイ素を基にしたB型シリカゲルです。誤飲しても体内で吸収されずに排出される、安全性の高い物質(だからって食べちゃダメ絶対!)
B型シリカゲルを使った一部商品は、天日干しで湿気を放出することで再利用できるものもあります。何かと使い勝手のよいタイプですね。
処分方法は異なる
貯水タイプと保水タイプでは処分方法が異なります。貯水タイプは水を流しながら排水溝に捨てましょう。中身だけ流すとベタついたり、金属を腐食させる恐れがあります。
保水タイプはそのまま各市町村指定の方法に従ってゴミに捨ててください。ただし袋が破損して中身が出てこないように注意してくださいね。
塩化カルシウムは普通の薬剤や洗剤では落ちません。万が一、衣服に付着した場合は水やぬるま湯につけて、べたつかなくなるまで洗いましょう。
除湿剤のカテゴリー
除湿剤商品は大きく5つに分けられます。適した場所に正しく使って、効果的に湿気を吸収しましょう。順番にご紹介しますね。
貯水型
箱型の容器に水を貯めていく除湿剤。押入れの中でよく見かけます。湿気は下に溜まるので、床や底面に設置すると効果的ですよ。
貯水型の多くには紙のふたがついています。実はあってもなくても除湿効果は変わりません。
なぜ紙のふたがついているのか? 理由は透湿シートに直接衣類が降れないようにするためなんです。触れると中身が染み出して衣類に染み出してしまうから。
また上から物が落ちてきた場合に、透湿シートが破れないよう保護する目的もあります。破れても吸湿効果に支障はありませんが、気をつけて使いましょう
引き出し・衣装ケース用
タンスの引き出しや衣装ケース内での使用に適した保水タイプ。密閉空間にこもった湿気を吸い取り、お気に入りの衣類を守ってくれます。
湿気を吸い取る面が決まっている製品が多いので、向きを間違わないよう衣類の一番上に置いて使いましょう。吸湿面を下にすると本来の効果が発揮されにくくなります。また、空間はしっかり密閉してください。
洋服ダンス・クローゼット用
ハンガーのように引っ掛ける形状で、衣類と共に吊り下げて使用します。
他の除湿剤にも言えますが、開封すると吸湿を開始するので、開けたらすべて使用するようにしましょう。
くつ用
履き物の中に入れて内部の湿気を取る除湿剤です。ニオイ対策として、消臭剤や脱臭剤を配合した製品も多いですね。
使用上の注意としては、薬剤袋が破れないようにしましょう。濡れたくつに入れて袋が破れると中身が漏れ出る可能性があります。べしゃべしゃの履き物に使うのは避けて下さい。
ふとん用
ふとんの湿気吸収に特化した除湿剤。ふとんの間に挟んだり、ふとんの下に敷いて利用する製品があります。干すのが大変なので重宝しますね。
毎日使う寝具は常に清潔感を保っていたいもの。干す時間がなかなか取れない方にはありがたいアイテムです。また季節物のふとんを収納するのにも活躍します。
その他の除湿製品
ハサミで好きな大きさに切って使用できる大判シート、特に狭い場所で使うためのすきま用など、生活シーンに合わせた製品も販売されています。それぞれ注意事項を読んで、正しく使いましょう。
除湿剤の上手な使い方
技術の進歩によって年々品質の向上を見せる除湿剤ですが、正しく使用しなければ本来の効果を発揮しません。じゃあどうやって使えばいいのか? ご説明いたします。
使用環境を整える
除湿剤は基本、密閉した空間で使うように作られています。オープンスペースだと本来の効果を発揮できないので気をつけてください。
使用前に設置場所は密閉できるかどうか、商品の説明書きに対してスペースが広すぎないかどうか確認しましょう。
適切な場所に設置する
貯水タイプなら空間の床で平らな場所に置きましょう。落下物の心配がなく、収納物に触れない場所が安全です。ハンガー型なら衣類と同じく吊るして使うこと。
製品パッケージにはしっかりと効果を発揮する使い方が記載されているので、使用方法や注意事項をきちんと読むことが大切です。
適切な個数を使う
除湿剤はいっぱい置けば効果が高まるものではありません。また少なすぎても充分な吸湿を期待できません。適切な個数を使用しましょう。
除湿剤の種類や使用環境によって適切な個数は異なるので、こちらもパッケージの説明をよく読んでください。
衣替えの上手なやり方
春と秋は衣替えのシーズン。各家庭でも除湿剤を使用する機会のひとつですが、上手な方法で行えば、衣服をより安全に収納することができるんです。
衣替えは晴れて乾燥した日が最適
湿気を防ぐには雨でジメジメした日より晴れた日を選びましょう。一日のうちもっともよく乾燥する時間帯は午前10時から午後2時のあいだ。
少しでもコンディションを整えておけば、半年後に取り出したときも傷まずに着ることができるはず。
衣類はキレイにして、ビニールカバーを外す
収納する衣類は洗濯して、汚れを落としておきましょう。洗わずに収納すると色の変化や虫食いの原因になってしまいます。収納場所のタンスやケースも掃除しておくこと。
クリーニングから戻ってきた衣類のビニールカバーははずしておきましょう。中に湿気がこもってしまうため、カビを発生させやすくなります。
除湿剤と合わせて防虫剤も使う
除湿剤は湿気やカビに対して効果がありますが、虫食いなどの害虫被害には基本的に対応していません。防虫剤を併用しましょう。
防虫剤の成分は空気より重く、上から下に効果が広がるタイプが一般的。説明をよく読み、確認したうえで衣類の上に置いてつかいましょう。
上手なひな人形・五月人形のしまい方
小さなお子様のいるご家庭では、ひな人形や五月人形を飾る機会もあることでしょう。しかし1年間の長期収納となるため、きちんとケアをしないと傷む可能性があります。
ひな人形や五月人形の収納には湿度調整が重要です。湿度が高いと着物にカビが発生し、低いと乾燥して顔にヒビが入ってしまうため。
人形にとって理想の湿度は50~70%。しかし一般的な除湿剤は空間の湿度を40%に保とうとするため適していません。
そこで人形専用の調湿剤を使いましょう。収納箱内を最適湿度にコントロールしてくれます。防虫剤と合わせて利用してください。
まとめ
高い湿度は衣類や住宅だけでなく、まわりまわって健康にも害を与える場合があります。除湿剤を使って快適な生活空間を維持しましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。