今回は何度もビビりながら遊んだゲーム『東京ダーク』のプレイ感想を書きます。
ゲームジャンルはサイコホラー+アドベンチャー。オリジナルのパソコン版は2017年に発売され、2020年1月からPS4でも配信が開始されています。価格は1800円(税込)
YouTube-Tokyo Dark – Release Date Announcementより
ダウンロード版のみの発売ですが、インディーズ版ならではの味がある作品です。
ネタバレはございません。作品の中身が気になっていた方、ゾクゾクするゲームを探している方はぜひご覧くださいませ。
行方不明の相棒を追う探索型アドベンチャー
『東京ダーク』は主人公である伊藤絢美(いとう あやみ)刑事を操作し、行方不明となった相棒の田中刑事を探すアドベンチャーゲームです。
主人公の声は『FAIRY TAIL』のエルザ役や『ペルソナ4』のマーガレット役などを演じられる大原さやかさん。フルボイスではなく、ワンポイントで音声が入ります。
基本は横スクロールのマップを移動し、調べられる場所の近くにくるとアイコンが出現。「見る」「入る」「取る」など行動を選択します。
プレイ時間は初回で約3~4時間ほど。さくっと遊べますが、内容が濃くて重いため、体感としてはもう少し長いかも。
捜索を続けるうちに伊藤刑事は隠された東京の闇に捕らわれていくのですが……これが予想以上のサイコホラー! 一気にプレイするには相当の精神力が必要です。
しかし独特の雰囲気が没入感を刺激し、コントローラーを離せない……!
独特の雰囲気でプレイヤーを闇の中へ取り込む『東京ダーク』その面白さを一つずつ語ってまいります。
プレイを始めてすぐに感じ取る不気味さ
始めた直後から嫌な予感しかしません。闇が深いというより異質。サイコホラーの先制パンチをもらった気分です。
本作を開発したのは鎌倉を拠点とするスタジオ「cherrymochi(チェリーモチ)」イギリス人のジョン・ウィリアムズさんを中心に制作された作品です。社名がかわいい……。
ネット上で企画に対して金銭支援をつのる、いわゆるクラウドファンディングによってリリースされました。だからこそ、挑戦的な作品を作ることができたのかもしれません。
慎重な行動を要求する「任意セーブ不可」システム
初回プレイ時はセーブができません。場所移動や選択肢を選ぶと、直後にオートセーブされます。
やり直しできないので行動ひとつ決めるにもドキドキ。制限時間のある選択場面なんて「どどど、どうしよう!?」とプチパニックになりました。
セーブができないだけで選択肢ひとつひとつを真剣に考える。最近のゲームでは味わえない緊張感です。
結末が分岐する重要パラメーター「S.P.I.N値」
主人公には「S.P.I.N値」と呼ばれるパラメーターが設定されています。
「SANITY(正気)」「PROFESSIONALISM(職業倫理)」「INVESTIGATION(探索)」「NEUROSIS(ノイローゼ)」の頭文字を取ってSPIN。
S.P.I.N値は警察官にあるまじき行動をすればPROFESSIONALISMは低下、熱心に捜査の証拠を集めるほどINVESTIGATIONは上昇します。
恐怖を感じる出来事に遭遇するとSANITYが減少、安定剤を服用するとNEUROSISが回復するなど、思っている以上に細かく変動します。
厄介なのがNEUROSISの値。同じ場所を何度もうろつく、会話が終わった相手に話しかけるだけでは増加。伊藤刑事はメンタルが不調なのです。
パラメーターは表示される選択肢や、10以上用意されたエンディング分岐に影響。行動には注意が必要です。
選択肢がプレイヤーの予想を裏切る
任意セーブもできない、パラメーターによって結末が変わる。なら後悔しないプレイをしよう! その決意をかき乱すのが予想だにしない選択肢の数々。
かかっている鍵を調べたら「壊す」しか出てこないし、通せんぼする人に対して実力行使しか思いつかない伊藤刑事。なぜ「話す」がなくてグーパンのみ!?
初回はこんなことばかりでした。真面目に捜査してたんだけどな……。
もちろん行動によっては穏便にことを済ませることも可能。ひとつのイベントを解決させる手順は複数用意されています。パラメーターの変動はさまざま。
ほかにも一つの場面で選択肢が10個以上出てくるなど、プレイヤーは平静を保っていられません。こんなアドベンチャーゲームやったことないよ。
古き良き時代を思い出すアニメーション
ところどころで差し込まれるアニメーション。そのグラフィックがどこか90年代を思わせるのは、個人的に好ポイントです。初代プレステやセガサターンを思い出しました。
今の美麗なアニメーションや3Dグラフィックはもちろん素敵ですが、懐かしい絵柄も東京ダークの世界観に一役買っているのだと思います。
ことあるごとにビビらせてくる演出
ゲーム中にはプレイヤーを不安にしたり、驚かせる演出が入ります。そのやり方にSAN値がピンチ!
一瞬だけ映像が映る、いきなり画面が荒くなる、突然怖いBGMに変わる……こっちの精神をガンガン削ってくるゲーム。プレイ中に何度ビクぅ! としたことか。
恐怖の一点にしぼって感情を突いてくる部分が徹底しています。特に作中でのキーアイテムに関連する演出は何度見ても慣れませんでした。
もちろん怖がらせる一方ではなく、ポップなイベントも多数ありますのでご安心を。
どこへ行ってもBGMが怖い
恐怖をあおる場面で暗いBGMが流れるのは納得ですが、東京ダークは普通の場所でも恐ろしい音楽が流れることが多いです。
鎌倉のBGMなんて誰がどう聞いても怖い! 何もしていないのに「絶対嫌なイベントある音楽じゃんか……」と不安に駆られました。
反面、穏やかな音楽が流れた時の安心感はひとしお。うまく緩急がついています。
ひと工夫ほしかった快適さ
独特の雰囲気やストーリーは申し分ないのですが、プレイしていると「こうだったらもっと快適に進めやすいのにな」と思うところをご紹介。購入の参考にしてください。
文章表示速度の変更不可、既読スキップやログ確認もなし
本作はメッセージスピードの変更ができません。一括表示も既読スキップもなし。
あると助かるログ確認(読んだテキストを振り返るシステム)も実装されていません。ボタンをポンポン押していて、テキストを飛ばしてしまうと戻れないのです。
この部分が改善されたら相当遊びやすくなると思います。今後のアップデートで実装されることを期待しましょう。
一度に表示される文章が多い
最近のゲームだと、対話で表示される行数はだいたい2行、多くて3行でしょうか。東京ダークは最大で5行表示されます。
ノベルゲームなので行数が多いのは必然とも言えますが、表示される部分が狭いのでちょっと見にくいかなと気になってしまいました。
個人差のある点だと思うので、気になる方は少ないかもしれません。
操作説明がない
チュートリアルに当たる操作説明がありません。あるのはパラメーターの説明だけ。基本はステータス画面から見られるマニュアルで充分です。
ただ唯一、△ボタンの説明だけが……せめてクリア後のプレイでは表示されてほしいなと思いました。
まとめ
独特の世界観でプレイヤーを恐怖へいざなう『東京ダーク』。2週目のプレイでは任意セーブ解禁、新たな選択肢の出現など繰り返し遊べます。
サイコホラー好きなら一度はプレイしてみてください。自分はハッピーエンドを目指したのに意外な結末を迎えたので、もう一回東京の闇に触れたいと思います。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。