大人になってたびたび「学生時代にもっと恋愛しておけばよかったな」と思うのは自分だけでしょうか? しようと思って出来るものでもありませんが、青春時代の尊さに気がつくのは、決まってアニメや小説で登場人物が恋に心を動かすとき。
もしもあの頃に戻ることができたなら「いいなと思った女子にはアプローチしとけ!」「弓道部のメガネの女子が好きなんだろ行け!」と自身を叱咤激励してやりたい……そんなことを思い出しながら、映画館をあとにしました。
今回はオリジナル劇場アニメ『HELLO WORLD』の感想を書きます。
ネタバレはありませんので、観に行こうか決めかねている方は参考にしてくださいませ。【アイキャッチ画像はYouTube-映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)予告』より】
『HELLO WORLD』はこんなお話
「お前は今日から三か月後、一行瑠璃と恋人同士になる」
京都に暮らす内気な男子高校生・直実(北村匠海)の前に、10年後の未来から来た自分を名乗る青年・ナオミ(松坂桃李)が突然現れる。
ナオミによれば、同級生の瑠璃(浜辺美波)は直実と結ばれるが、その後事故によって命を落としてしまうと言う。
「頼む、力を貸してくれ。」彼女を救う為、大人になった自分自身を「先生」と呼ぶ、奇妙なバディが誕生する。
しかしその中で直実は、瑠璃に迫る運命、ナオミの真の目的、そしてこの現実世界に隠された大いなる秘密を知ることになる。
『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』に続く2作品目として手掛ける伊藤智彦監督は『銀の匙 Silver Spoon』や『僕だけがいない街』などのアニメも指揮していました。『世紀末オカルト学院』観ていたな……もう9年経つとは感慨深いです。
脚本を担当したのは野崎まど先生。2017年に放送されたアニメ『正解するカド』でも脚本を担当されていました。
素敵な作品をいくつも書かれていますが、個人的にオススメなのは『独創短編シリーズ 野崎まど劇場』です。大好きで未だに読み返すこともしばしば。
キャラクターデザインは堀口悠紀子さん。『けいおん』や『たまこまーけっと』のキャラデザを担当されているので、絵柄に親しみを感じた人も少なくないはず。
最近では秋元康さんプロデュースの声優アイドルグループ『22/7』のメインビジュアルも担当されていますね。たけのこはレギュラー番組を毎週観ています。
基本情報はここまでにして、さっそく感想を語っていきましょう!
ぎっしりと詰め込まれた98分
YouTube-映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)予告』より
本当に98分上映だったのかと思ってしまうほど、ボリュームのある内容でした。
ストーリー説明にもあった「現実世界に隠された大いなる秘密」は当然明かされるのですが、その後さらにドン!と驚く事実が上乗せされます。さすがにもうないだろと思ったら追加でドン!物語の転がり方が大きすぎて「今どこなの?」と現在地を見失うスケールの大きさです。
SF作品やタイムリープを題材にしていると、どうしても専門用語や理屈が飛び交います。本作にも少々難解だなと思うシーンはありましたが、鑑賞後に「あれはああだったのかな」と推察しながら作品を振り返る楽しみに浸れました。
反面、登場人物の心の動きに関してはしっかりと描写してくれていたので、主人公をはじめ、主要キャラの気持ちに寄り添うことはできましたね。「恋人を救う」という話の主軸も最後まで貫かれていました。
3DCGが世界を美しく魅せる
YouTube-映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)予告』より
作品は3DCGで描かれていますが、キャラクターに関しては2Dアニメーションの良さを残しています。つまり立体的で滑らかに動くと思ってください。
アニメーションを手掛けたのは3D作画を得意とするグラフィニカ。圧巻の映像美を見せつけてくれた『楽園追放 -Expelled from Paradise-』を作った会社です。
SF的な表現は綺麗で迫力があり、理論の説明が分からなくても物語世界へ引っ張り込んでくれる説得力がありました。理解が追いつけなくても集中が途切れなかったのは、世界を構築する3D作画のおかげでしょう。
映画予告のキャッチコピーはほぼ事実
YouTube-映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)予告』より
『HELLO WORLD』のキャッチコピーは「この物語(セカイ)は、ラスト1秒でひっくり返る——」。
最近の映画はどれも壮大なキャッチコピーを引っ提げて公開されるため、みなさん煽り文句に慣れてしまっていることでしょう。
「またまた大げさに言っちゃってー、ちょっとやそっとじゃ興味をひかれないぞっ」……これで鑑賞を見送るのはもったいない。
だから実際に見て感じたことを隠さずに書きましょう。
体感では、ラスト数十秒前からひっくり返り始めていました(誤差の範囲内)
じゃあキャッチコピーは嘘かと問われればそうじゃありません。最後のどんでん返しが明かされて、理解するのがラスト1秒前ということでしょう。ひっくり返るのはまぎれもなく事実です。そこで「これが話の目的だったのか」と知ることになります。
ヒロインの一行さんがかわいい!
YouTube-映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)予告』より
作品の見どころを書きましたが、もっとも伝えなければならない情報は本作のヒロイン、一行瑠璃(いちぎょうるり)がかわいいことです。一行瑠璃がかわいいことなんです!
CMや公式サイトの予告編などで「この子がヒロインか。なんかいいな」とほんのちょっとでも感じたら観に行ってください。その気持ちを裏切ることはないと思います。
一見無愛想に思われがちだけれど、実は真面目な一行さん。彼女をめぐって直実とナオミがどのように行動するのか、果たして命を落とす未来を変えられるのか? どうして一行さんのことをそんなにかわいいと連呼するのか? ぜひ劇場でご確認ください。
まとめ
「新機軸のハイスピードSF青春ラブストーリー」と銘打った本作。全部乗せみたいに書かれていますが、たしかに全部乗ってました。迫力あるSFも甘酸っぱい恋愛もしっかり楽しめる内容なので、興味のある方はぜひご覧くださいませ。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。