お客様「これだけ曇り空が続くとお野菜が育たなくて困るわぁ。特にきゅうりとか」
たけのこ「そうなんですか。私はきゅうりが大好きなので、元気に育ってほしいですね」
お客様「あらそうなのね。うふふ」
梅雨の続く先日、仕事中にレジでお客様とこんな会話をしました。雨の恵みも大切ですが、生活するうえで望むのはやっぱり青空。部屋干しと外干しじゃ洗濯物の乾き具合がまるで違いますからね。
そんな梅雨の時期にぴったりの作品が公開されたので観に行ってきました!
今回は映画『天気の子』の感想を書きます。ネタバレはないので、気楽に読んでくださいませ(今回のアイキャッチ画像はYouTube-映画『天気の子』スペシャル予報より)
『天気の子』はこんなお話
「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、
怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。
彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。
ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。
『天気の子』は新海誠監督が原作・脚本を手掛けた作品です。前作『君の名は。』の大ヒットを受けて3年越しの新作、注目を浴びない理由はありません。
音楽は引き続きRADWIMPS(ラッドウィンプス)が担当。前作の主題歌『前前前世』はあまりにもフレーズがキャッチーすぎて、日常で「全然」という単語を使うと後から「……前世」がくっついてくるほどの脳内浸透率(たけのこだけですか?)
基本情報はここまでにして、さっそく感想を語ってまいります!
これまでの作品と比べると取っ付きやすい導入
新海誠作品の中では世界観に入り込みやすいストーリーに思えました。『ほしのこえ』『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』よりも『君の名は。』のようなコミカルな導入に近いです。
表情の描写も「なんかマンガチックだな」と感じるくらい豊かで、今までの作品よりもライトな雰囲気だなと感じました。キャラクターへの愛着が湧きやすかったです。
半面、緻密に描かれた風景描写は目を見張るクオリティ。まばゆいほどの映像美は今回も健在……いやパワーアップして描かれています。実在の場所や看板はほぼ原形で登場、現実味を強く感じさせてくれます。
一方で天候や非現実を表現する描写はひたすらに「美しい」の一言に尽きます。新海誠監督=ハイクオリティの映像と言っても嘘にはならないでしょう。作品が公開されるたび洗練されていく画は、今回も心を奪ってくれました。
作品の主題歌『愛にできることはまだあるかい』も心にジーンと染み渡る素晴らしい曲です。ピアノの旋律と落ち着いたメロディーはしばらく脳内でリフレインし続けますね。
他にもボーカル曲が劇中歌として流れるのですが、どれも場面に融合し、盛り上げてくれる名曲ばかり。RADWIMPSに馴染みのない方はこれを機に名前を知り、ファンはさらに好きになること間違いなしです!
登場人物はみんな個性が強い!
登場人物はみんな個性が強いです。主要人物だけでなく、脇を固めるキャラクターもほぼ全員が印象に残るほどのインパクト。エンドロールまでしっかり見て名前を確認してしまいました。
ちなみに主要キャラクターの中で特に印象深いのがライターの須賀。なにがどう刺さったのかはネタバレになるので書きませんが「この言葉が突き刺さる年齢になっちゃったんだ……」と感情移入しっぱなしでした。
「結末は賛否が分かれる」は本当だと思います
新海誠監督は作品のインタビューで「結末は賛否が分かれる」とおっしゃっていました。実際のところは……前情報を踏まえ、さらに面白かったと感じたうえでの感想はこちら。
観ていて「ええっ!?」と驚きましたから。他にも、このご時世に挑戦的な場面があったりしました。ラストに限らず、観る人の捉え方によって左右される部分が多い内容でしょう。
だからこそ監督の作りたかった物語なんだなと強く心に響きました。
「前作の人気や期待にそのまま迎合するのではなく、作り手として作りたいモノを作った」そんな気概を感じずにはいられません。おそらく監督のコメントも公開後の感想を予想していたのでしょう。
『君の名は。』が比較対象にされてしまうのは、大ヒットした反面で仕方ないのかなと思います。前作のような作品だと思って観たら「なんか違う……」とがっかりする人もいるかもしれません。「前作の方が好き」と言う人は少なくない、そんな予想もしてしまいます。
それでも信念を曲げずに貫き通したからこそ、より心に残るストーリーが公開された。いちファンとしてはそんな風に考え「やっぱり新海誠監督の作品は素敵だな」とエンドロールで余韻に浸るのでした。
人を選ぶ作品ではない、みんなが楽しめる内容
結末に賛否があるといっても、決して人を選ぶ作品ではありません。前述のとおり取っ付きやすいストーリーで、個人的には今までで一番コミカルなストーリー展開なんじゃないかな、と感じました。
だからこそ難しいことを考えず、エンターテインメント作品として楽しみやすい内容です。それでいて新海誠監督のテイストはしっかり含まれている。「いい映画だったなあ」と満足して席を立てる名作ですよ。途中で思わず泣いちゃうくらいに。
まとめ
PVで流れる「世界の秘密についての物語」「世界の形を決定的に変えてしまったんだ」のセリフに偽りはありません。言葉の意味、そして作品がどんな結末を迎えるのかをぜひ劇場で楽しんでいただければと思います。
鑑賞後は空を見上げるはず。晴天も雨も、今までの印象がきっと変化しているでしょう。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。